点数がへこんでいる。この辺で一つ挽回しておかなければ——そう思っているときほど、手牌の中に三色が見えてくるものです。ドラを引けば跳満、一発ツモなら倍満。誰でもそのコースを視野に入れます。ところが土田プロの法則はこうです。落ち目に三色なし。今回は「極めて現実的なお話につながっている」という前置きのもと、三色を見切るための一打を2つの実例で示します。
「落ち目」とは——へこんでいる局は、いつもの体ではない
今回の法則は、手牌の形よりも先に自分の点数状況を見ます。マイナス1万2000点、マイナス1万点。「ちょっとまずいな」「この辺で一つ挽回しておかなきゃな」と思っている局——それが落ち目です。
土田プロはこの状態を、風邪をひいて熱がある体にたとえます。普通のときと同じように動こうとしても、元気なんか出ない。「なんでいつもと同じように動くんですか?」——つまり、点数がへこんでいる局に、点数があるときと同じ手順で高打点を狙ってはいけない、というのが出発点です。
「できるわけがない」は、三色を完成させる牌が引けない、という意味です。では引けないなら何を引くのか。その答えが、切る牌を変えます。
実例①——東1局・西家・6巡目、マイナス1万2000点で七索をツモった
最初の手牌は、東1局の西家、6巡目。点数はマイナス1万2000点、かなりへこんでいる状況です。ここで七索をツモってきました。
手の中には、筒子の四連形があります。二筒が入ってもいい、七筒が入ってもいい、どちらでも快適なテンパイが組める形です。赤も1枚あって、リーチ・ピンフ・赤は当然視野に入っている。そして皆さんが最も期待するのはこれでしょう、と土田プロが指すのがドラの四萬です。
ドラの四萬が引けたら、六筒がいらなくなって三色が完成する。リーチ・ピンフ・三色・赤・ドラ——満貫どころか跳満。リーチ一発ツモで上がれば倍満です。「四萬来い、四萬来い」と思いながらこの手牌を眺めている。そこへ七索が来た。
こんなタイトルの動画でなければ、おそらく皆さん七索をツモ切りする——土田プロはそう言い切ります。要らない。三色の形は崩したくない。それが今までの考え方です。
三色は引けない。だから七索を置く
ところが法則では、落ち目に三色なし。四萬は引けない、という前提に立ちます。では何を引いてくるのか。この七索を置いておくのです。
七索のような「ツモ切りしたくなる牌」に、隣の牌がくっついてくる。六索、八索。そうやってくっついた形ができれば、三色のために抱えていた牌はいらなくなり、六索や九索を待つ形に変わります。手役はリーチ・赤1——ドラも乗らない、安い手です。
ここが今回の核心です。「こんなの嫌だよ」と言っているから、あなたの落ち目になっている状況は改善されない。跳満のコースを見つめたまま安い手を拒んでいる限り、へこんだ点数は戻ってこない、というわけです。
切る牌は八萬——三色を断つ、見切る
ですから、この手から切る牌は七索のツモ切りではなく、八萬です。三色は無い。だから三色を断つ、見切る。土田プロの言葉を借りれば、この選択ができたら、この手は上がりに近づく。
逆に、八萬を置いたまま七索を切るとどうなるか。「大体ね、引いてくるのは九萬なんです」——落ち目のときに引いてくるのは、待ち望んだ四萬ではなく九萬だ、と土田プロは言います。それでもドラが乗れば満貫はあるから、リーチをかける。そして流局するか、誰かに振り込む。「最悪の道をたどるわけですよ。萬子を残したばっかりに」——これが、三色を追い続けた先の現実です。
もう一度確認しておきます。落ち目に三色はできない。落ち目に三色なし。八萬をここから切る。「そういうあなたになってみてください」というのが、実例①の結論です。
実例②——親・6巡目・マイナス1万点でツモ六索
二つ目は親の手です。6巡目、ツモは六索、ドラが1枚あって、点数はマイナス1万点。やはり落ち目です。
ここで多くの人がどう打つか、土田プロは3通り挙げます。
- 六索をそのまま切る。赤五萬がくっつけばテンパイになる形があるから——「これ切ってた人、多いかな」
- 六萬を切ってテンパイに取る。親なのだから欲張らずに、確実に上がれる待ちを作る
- 三色に行く。「いやいや、できてんですよ、123」——六萬や七筒を雀頭の候補にして、どちらを頭にしようかと考える
三つ目の打ち方について、土田プロは「それは普通のときの話」と一蹴します。あなたの体が普通の状態のときの話。今は風邪をひいて、熱もある。元気なんか出ない。落ち目なんだから。「落ち目に三色なし」って書いてあるでしょう。
三筒を切る——点数で、切る牌が変わる
ここから何を切るのか。「もう賢明なる皆さんはお分かりですね」——三筒です。
ポイントは、点数によって切る牌が変わることです。点数がたくさんあるときは、もちろん二筒を切って三色に行く。「例えばこれがプラス1万点だったらね、二筒切って、もう三色いっちゃうぞ」——その考え方でいい。しかし今はマイナス1万点、落ち目。だから三筒を切る。
目指す手役はピンフ・ドラ1で我慢。ピンフがなくてもいい、リーチ・ドラ1で我慢。三筒を切っておけば、両面系になる候補は六萬か七筒へのくっつきです。
- 六萬に五萬がくっつけば四・七萬待ち。七萬がくっつけば五・八萬待ちで、こちらは少し外寄りのぶん上がりやすい
- 七筒には八筒がくっつくのがいちばんいい。六筒や九筒がくっついても「まあまあまあまあ、いいじゃないですか」
赤五筒をツモってくる可能性にも触れつつ、「まあ、来ないけどね。落ち目は」と笑うのが土田プロらしいところです。落ち目の局に、都合のいい牌は来ない前提で組む——実例①と同じ前提です。
理想は九筒引きのカン八筒——落ち目に合ったリーチ
そして土田プロの理想は、九筒を引くこと。七筒と九筒でカン八筒の待ちです。両面ではありません。それでも「これがマイナス1万点の自分に合ったリーチ、形だと思うんですね」と言います。
六筒を引いて両面にしたかった。けれど九筒でもリーチに行く。1回八筒で上がって、立て直す。落ち目の局に求めるのは、跳満でも満貫でもなく、この「1回」です。
この手牌からは、三色の「さ」の字も出てきません。123が決まっていて「お、三色かな」という誘惑は確かにある。その誘惑に負けずに、「落ち目に三色なし」と呪文のように唱えて三筒を切る。六萬か七筒のくっつきテンパイを目指し、できればピンフになればいい——これが実例②の結論です。
三色を狙わないと、結構うまくいく
土田プロはこの法則を「結構大事な法則」と位置づけ、忘れないでほしいと念を押します。そして実際に麻雀をするときに、やってみてください、と。三色を狙わないで。結構うまくいきますよ。
締めくくりの言葉はこうです。「実践して初めて、私の話している法則が理解できる」。頭で納得するだけでは足りない。落ち目の局で八萬を切り、三筒を切り、安い手で1回上がってみて、初めて分かる法則だということです。
まとめ:落ち目の局は、三色を見切って1回上がる
- 落ち目 … マイナス1万点前後にへこんでいる局。風邪をひいて熱がある体と同じで、普段どおりには動けない
- 法則 … 落ち目に三色なし。三色を完成させる牌は引けない前提で打つ
- 実例① … 東1局・西家・6巡目・マイナス1万2000点。ドラ四萬待ちの跳満コースを見切り、七索のツモ切りではなく八萬を切る
- 八萬を残すと … 引いてくるのは九萬。リーチして流局か放銃。「萬子を残したばっかりに」
- 実例② … 親・6巡目・マイナス1万点。123の三色を捨てて三筒を切る。プラス1万点なら二筒切りで三色に行ってよい
- 目指す形 … 六萬か七筒へのくっつき両面。理想は九筒引きのカン八筒。リーチ・ドラ1、リーチ・赤1で我慢する
- 合言葉 … 「落ち目に三色なし」と呪文のように唱える。実践して初めて理解できる
手牌の形だけでなく、自分の点数という「体調」に打ち方を合わせる——今回の法則は、形の理屈より先に状況の理屈を置いています。くっつきの形そのものについては第4回・くっつきイーシャンテンと4連形で扱われていますが、その良形を「どの打点で完成させるか」は点数次第だ、というのが今回の追加でした。次回は「リャンメンチーは高打点」の予定です。




