実況が「これは軽そうですね」「重い手ですね」「完全イーシャンテンに構えました」「くっつきのイーシャンテンです」——今回は、手牌の形を語る実況用語をまとめて解説する回です。そして例によって、基本を教えたあとの土田プロがひと暴れします。
軽い・重い——ゴールまでの距離のこと
手牌が軽い=アガりやすい形をしている、という意味です。両面が並び、役の種も持ち、どこが埋まってもチャチャチャッとテンパイに走れる——「軽いね、アンタ」というやつです。
対して重い手は、字牌がないのに穴ぼこだらけ。ペンチャン、ペンチャン、カンチャン、カンチャン——欲しい牌が「三萬だけ」「五萬だけ」と限定的なものばかりで、見ただけでザワッとする。アガリが遠いなあ、重いなあ、という手です。
完全イーシャンテン——どれが来ても良形テンパイの構え
完全イーシャンテン形とは、余り牌(安全牌など)を抱えず、どの受け入れが来ても好形のテンパイが約束されているイーシャンテンの構えのこと。動画では白ドラの手を例に、九筒をポンしても、逆側の二萬をポンしても、どちらでも六索・九索待ちの満貫テンパイになる——「誰?出してくれるの?」という贅沢な二面待ち受けの構えが紹介されます。現代麻雀で最も推奨される、教科書の花形です。
「完全なんか無いんだよ、麻雀に!」
ここで、スタッフから質問が飛びます。「完全イーシャンテン形にしなかった場合は?」——待ってましたとばかりに、土田プロの本音が出ます。
土田プロはこの手から、セオリーなら残すはずの二萬を切ってしまう。理由はこうです。完全イーシャンテンに構えて長い時間が経ち、終盤にようやくテンパイしてリーチ——その直前に二萬を切ると、「なんでお前、今まで二萬持ってたんだよ」という河になる。少し麻雀が分かる相手には待ちの周辺を悟られ、アガリ牌を止められてしまう。逆に序盤のうちに二萬を手放しておけば、河は自然で、リーチにアガリ牌が出やすい。
「昭和でしょ、分かってますよ」と笑いながら、それでもこの手にはエネルギーがあるから、型どおりの構えに縛られるな、と。定石を知った上で、定石の外を選ぶ——河読み回とまったく同じ、土田流の構造です。
くっつき——浮き牌は「待ちの卵」
くっつきは文字どおり、くっつきの話です(ご本人談)。面子と雀頭がほぼ完成していて、残った浮き牌に隣の牌がくっつけばテンパイ、という構えのこと。
動画の実演も落語調で、カン八筒待ちがついたら「カンパチか。食べたらうまいけどな」、カン六筒なら「カンロク? お前、貫禄があるな」。気に入らない待ちなら、くっつきを拒否してくっつきのくっつきを待つ——断腸の思いで切ったら、もっといい形が来て「こっちのほうがいいじゃねえか」。麻雀あるあるの極みです。
最高のくっつき——4連形
そして、くっつきの王様が4連形。三四五六のように4枚連続した形です。
二萬が来ても七萬が来ても両面、うまくすれば三面張。バラエティに富んだ、実に愉快なくっつき——ただし土田プロは注文もつけます。同じ4連形でも、割ったときに両面にならない並びは大した4連形じゃない。どちらに伸びても良形が生まれるかどうか、よく品定めをしてから頼りにすべし、と。
まとめ
- 軽い/重い … アガリやすさの体感。両面中心なら軽い、愚形だらけなら重い
- 完全イーシャンテン … 余り牌なし・どの受けでも良形テンパイの構え。現代の定石
- ただし土田流 … 終盤に危険牌を抱え続けるくらいなら、先に切って河を自然に。「完全なんか無い」
- くっつき … 浮き牌+隣=テンパイ。気に入らなければ、くっつきのくっつきを待つ
- 4連形 … 最高のくっつき材料。ただし両面が生まれる並びかは品定めを
形の用語が分かると、実況の一言から打ち手の思想まで見えてきます。

