前回の理論編で整理した「1〜9の性格」を、いよいよ実際の手牌で使う回です。同じ14枚を前にして、牌効率と土田流牌理では、切る牌が変わる——その分かれ道を、動画の2つの手牌に沿ってたどります。牌姿の細部はぜひ動画でご確認を。ここでは考え方の骨格を持ち帰ってください。
手牌①——牌効率なら三索。牌理なら七萬。
1つ目の手牌。牌効率に従って1枚選ぶなら、答えは三索以外にありません。他はすべて複合形でくっついていて、単独で浮いているのは三索だけ。これを切ればリャンシャンテン、あと2枚でテンパイという最短ルートです。ここまでは誰も異論のない、教科書どおりの一打。
しかし——「牌効率どおり打っても、なかなか上がりまで結びつかない」。そこで牌理の登場です。牌理の答えは、なんと七萬切り。
理由は理論編そのままです。この手に残っている三筒・七筒・三索は順子作りの主役(3・7)。主役をフル稼働させれば、一・九・二・五・八——端の上がりやすい待ちが生まれる。逆に、ペンチャンの三萬待ちのような×の待ちが最後に残る芽は、早めに摘んでおく。だから七萬を切り、続けてペンチャン部分(一萬・二萬)も河へ放出していく。
手順にも理由があります。「七萬切った次のツモが三萬ということも、たまにあるんですよ」——七萬が3枚に重なる確率より、三萬を引いてくる確率のほうが高い。だから七萬が先。最終的に一・四待ちや六・九待ちにたどり着いたとき、最初の形からは想像もつかない手牌になっている——それを想像できるのが、牌理に強い打ち手だというわけです。
手牌②——原則が3つ、詰まっている
2つ目の手牌は、雀頭候補の対子が3つある形。ここで牌理の基本原則が立て続けに出てきます。
原則1:暗刻は想定しない。牌理的に手牌を見つめるときは、対子が3枚に育つ皮算用をしない。
原則2:対子はほぐす。「私、対子ほぐすの非常に抵抗感あるんですけど」と笑いつつ——牌理は順子作りで完成形を目指す理論なので、対子は固定せずほぐす。
原則3:雀頭は、順子になりにくい対子に任せる。頭の適任は理論編どおり1・9、次いで2・8。この手なら五萬でも四索でもなく、二筒が雀頭。真ん中の対子たちはほぐして、順子の材料に回します。
そして仕上げがこれ。2・5・8の間待ちは優秀——カン二萬、カン五索のような待ちになったら、両面でなくても「結構上がれるかもな」と胸を張ってリーチしていい。スジで相手が出しやすいから、ではありません。2・5・8はそもそも上がりやすい牌だから。理論編の◎○△×が、ここで実戦の自信に変わります。
タンヤオに釣られるな
もうひとつ、耳の痛い指摘が。この手、タンヤオという役を意識した瞬間に、手の進行が歪むんです。役に釣られて真ん中に寄せると、二筒の雀頭も、優秀な端の間待ちも消えてしまう。牌理に忠実に打つ——役はその結果ついてくるもの、という順番です。
なお動画には訂正テロップが入っていて、この手牌②は牌効率的にも五萬切りが正解とのこと。つまりこの手では、ふたつの理論の答えは一致します。違うのはたどり着く理由——受け入れ枚数の最短計算で選ぶか、「カン二萬という上がりやすいゴール」から逆算して選ぶか。うっかり端の一萬あたりから手を付けてしまうと、牌理的に優秀な二萬待ちが消えてしまう。「あまりにももったいないんじゃないですか」。
まとめ:牌理・実践の型
- 浮き牌の3・7は宝 … 順子の主役。安易に切らず、フル稼働させる
- ×の待ちの芽は早めに摘む … ペンチャン3萬のような形は先に河へ
- 暗刻は想定しない・対子はほぐす … 順子作りで完成形を目指す
- 雀頭は端筋(1・9、次いで2・8)に任せる
- 2・5・8の間待ちは自信を持ってリーチ
- 役に釣られない … タンヤオ意識で真ん中に寄せると、牌理が崩れる
最短のテンパイと、最良の待ち。ふたつの理論を両方持って、場面で使い分ける——理論編・実践編、これにて完結です。

