「両面(リャンメン)のチーは高い」——聞いたことのある方も多いはずです。土田プロ自身、「ご存知の方もたくさんいらっしゃるかもしれませんが」と前置きしたうえで、それでも今回の法則に選びました。リャンメンチーは高打点。両面でチーをした人の手は、高い手であることが多い。実際の捨て牌を2つ見ながら、なぜそう読めるのか、何点を覚悟すべきか、そして誰が鳴いたときにこの法則が効くのかを追いかけます。
前提——両面チーは、何を捨てる行為か
まず言葉から。チーは上家(左隣)の捨て牌をもらって順子を作る鳴きです。そのうち、たとえば五六と持っているところに四が出て鳴くような、両側どちらでも受けられる形(両面)に対して行うチーが、今回の主役「リャンメンチー」。三五に四が出るカンチャンのチーとは、意味がまったく違います。
土田プロがまず問うのは、なぜそれをするのかです。両面で受けられる形なら、鳴かなくてもテンパイは近い。リーチをかければ裏ドラを見ることもできるし、一発だってある。ところがチーをした瞬間、それらは全部消えます。自分のツモで良い牌を引く機会も、鳴けば失われる。つまり両面チーとは、リーチで得られたはずの打点を、自分から手放す行為なのです。
それでもチーをする。しかも、早い巡目に。そこに理由がないはずがない——ここが読みの出発点になります。
実例①——5巡目の両面チーで、六萬切り
1つ目の捨て牌です。白、發と役牌を早々に払い、七索、二萬と続けて、切ったのはまだ5枚。そこで上家から四筒が出て、「チー」の声がかかりました。
四筒のチーと聞けば、カンチャンで受けたのかな、と一瞬思う。ところが現れたのは両面の形でした。そして手からは六萬を切ってきた。土田プロはここで「もうね、このパターン、頭の中に置いといてください」と念を押します。
言い分はこうです。こんなに早いのに、たった5回切っただけなのに、なぜ両面をチーするのか。リーチをすれば裏ドラも一発もあるのに、それを捨ててまで急ぐ——これはもう、ほぼ間違いなく高い。赤ドラの入ったルールなら、なおさらそうだと言います。
金額にすると満貫以上。「3,900ぐらいじゃ両面チーしませんね」というのが土田プロの見立てで、この人にロンと言われたら8,000点から始まると覚悟してよい、とのことです。
ただし、例外が一つ添えられています。その四筒がすでに4枚目——最後の1枚だったなら、話はまったく違う。今回はそうした状況ではなく、ただ普通に出てきた四筒を両面でチーした。だからこそ、この人をマークするのです。
実例②——親の5巡目、ドラは白
2つ目は親の捨て牌です。つつっと5巡進んだところで、上家から四筒が出て、チー。おや、どうして鳴いたのかなと見ていると、パタパタと両面の形が現れ、手からは九索が切られました。
端牌が飛んで、タンヤオかな——と思ったところで、土田プロは「ちょっと待ってください。ドラを見てください」と止めます。ドラは白です。
ここで違和感が立ちます。タンヤオだと、高い手はなかなか出てこない。赤を全部持っているような手でなければ、親でも5,800止まりでしょう。そして、5,800止まりの手なら両面はまだチーせず、リーチをかけてくるのではないか。それを急いで鳴くということは、この人の手には別の打点の根拠がある——という推理です。
候補は絞られます。多分、白が2枚。親ですから、白の対子に加えて、まだ場に出ていない役牌の対子がもう一組ある形——東とか、まだ出ていない發とか。白白發發、白白東東のような手で両面をチーしている可能性が、かなり高いと言います。
そして、もっと高い可能性として挙げるのがドラの白が暗刻です。こうなると、どの牌が通るかがちょっと分かりにくくなる。筒子はチーで形ができたあたりなので大丈夫かな、と思えるものの、萬子から索子、端のほうまで含めて当たりやすくなっている。ロンされて「12,000」と言われて「えっ」と思ってはいけない、とのことです。
両面チーをしたら、こうなんだ——白が暗刻のケースも、白の対子とほかの役牌の対子のケースもある。これをピピッと頭に入れておかないと、痛い目に合う。それが2つ目の教訓です。
相手のレベルで、読みの強さが変わる
ただし、この法則には対象があります。土田プロは打ち手を3つの層に分けて、両面チーの重みを変えて読みます。
まだ覚えたての初級クラスは、両面が出てもチーチーチーとしてしまう可能性がある。出たらチー、出たらポン、という打ち方ですから、この法則は当てはまりません。「それは置いといて」と、いったん脇に置かれます。
ある程度役も分かり、キャリアが少しある方——「結構麻雀できるようになったね」と言われる層が両面チーをしたら、これは問題です。高い手です。要注意、とはっきり言います。
そしてベテランやプロ、もっと上のクラスの人がいきなり両面チーをしたら、「ああ、まずいまずいまずい。もう高い手だから気をつけなきゃ」と思わなければいけない。ここは「もうダメ、白暗刻ですね」と構えるべきだ、とのことです。
上級者の両面チーは、テンパイまで済んでいることがある
上のクラスの人については、もう一段先まで読みます。疑われても、自分でツモって上がれる自信のある待ち——つまり、両面をチーして、残りの両面もすでにテンパイになっている可能性があるのです。
たとえば一・四待ち。あるいは捨て牌の三萬をまたいだ二・五待ち。ちょっと気の利いた待ちが用意されていて、「四筒をチーして12,000」という算段まで済んでいる可能性すらある、と土田プロは言います。端に寄った両面が上がりやすいことは第6回・土田流「牌理」でも触れました。鳴く側は、その上がりやすさまで計算に入れているわけです。
だからこそ、とにかく早めの両面チーです。まだ早い段階で「チー」の声がかかり、それが両面だったら——高打点を注意する。覚えることはそれだけでいい、というのが今回の法則です。
まとめ:早い両面チーは、満貫以上をマークする
- 法則 … リャンメンチーは高打点。両面でチーをした人の手は、高いことが多い
- 理由 … リーチなら裏ドラも一発もある。それを捨ててまで鳴くのは、打点の根拠があるから
- 目安 … 3,900では両面チーをしない。ロンなら8,000から、親なら12,000を覚悟する
- 例外 … 鳴いた牌が4枚目なら話は別
- ドラが白のとき … 白対子+役牌対子、あるいは白暗刻を想定する。萬子・索子、端まで当たりやすい
- 対象 … 覚えたての初級者には当てはまらない。キャリアのある人は要注意、上級者・プロなら「もうダメ」と構える
- 上級者 … 両面チーの時点でテンパイ済みのこともある。一・四、二・五など気の利いた待ちを想定する
鳴いた人が何を手放したかを見れば、何を持っているかが透ける——今回の法則は、そういう読みの型です。裏ドラも一発も捨てて急ぐ理由は、打点の側にしかない。両面チーの声が早い巡目に聞こえたら、その一手を「もったいない鳴き」ではなく「高い手の宣言」として受け取る。編集部としては、そんな回だったと受け取りました。




