Mリーグ公式解説でおなじみの土田浩翔プロ。その解説には「上がいいですね」「4センチになりました」「中が膨れてます」——初見では意味の取りづらい用語が飛び交います。
今回はその実況・解説用語を、土田プロ本人が一つずつ解きほぐした回。観戦のお供に、辞典としてブックマークしておいてください。
タンヤオの「ヤオ」って何?——断么九と中張牌
タンヤオは漢字で書くと断么九(タンヤオチュー)。
「么九(ヤオチュー)」の「么」は日本では見かけない字ですが、意味は1。九はそのまま9。つまり么九=1と9のことで、それを「断つ」から断么九。1と9を手牌から断てば、残るのは2〜8の範囲——これがタンヤオです。
同じ2〜8の牌を指す言葉が中張牌(チュンチャンパイ)。1と9がなく「中に張っている」牌、という意味合いです。中張牌=タンヤオ牌、どちらも同じものを指しています。解説を聞くときは「1・9のない牌のことだな」とイメージできればOKです。
「上がいいね」「下がいいね」——上目と下目
解説中によく出る「上を狙ってますね」「下がいいですね」。これは上目(うわめ)・下目(しため)の略です。
- 上目=6・7・8・9(マンズ・ピンズ・ソーズどの色でも)
- 下目=1・2・3・4
- 5はどちらにも属しません。中心の牌なので、上目とも下目とも言いません。
「下の三色を狙ってますね」なら123か234の三色同順、「上の三色」なら678か789。「マンズの上がいいですね」なら七萬・八萬・九萬のあたりを使いたがっている、という意味です。
4センチ——鳴きまくった手牌の姿
ポン・チーと3回鳴くと、手牌は4枚だけになります。この状態を実況では「4センチになったね」と言います。
なぜセンチなのか。土田プロ本人も「なぜかわからないんですけど」と笑いますが、牌4枚分の幅がだいたいそれくらい、ということなのでしょう。ちなみに手牌7枚(2副露)を「7センチ」とは言いません。3副露して4枚になったときだけ、なぜか「4センチ」。実況スラングとはそういうものです。
複合形——「どっちでもいいように」構えておく形
複合形とは、順子(シュンツ)にもなれるし、同じ牌が3枚(暗刻)にもなれる——どちらに転んでもいいように持っておく形のこと。3種類あります。
① 両面系(六六七萬)——六六の対子+六七の両面。五萬・八萬が来れば順子、六萬が重なれば暗刻。両面だけに固定せず、六萬3枚目の可能性を残しておく構えです。
② カンチャン系(四四六萬)——四四の対子+四六のカンチャン。五萬が来れば順子、四萬が3枚になってもいいし、四萬をポンしてもいい。
③ ペンチャン系(八八九萬)——八九のペンチャン+八八の対子。七萬が来れば順子、八萬が重なれば暗刻。
共通するのは「組み合わせが増える方向に、選択肢を閉じないで構えておくと得」という発想。複合形と聞こえたら、「あの打ち手は二股をかけて安全に構えているな」と読み替えてください。
ダブルメンツ——1つの場所から面子が2組
ダブルメンツは、二二三三萬や六六七七筒のような形。
二二三三萬なら、一萬が入っても四萬が入っても順子が完成し、しかも2組取れる可能性がある。「二萬か三萬が3枚にならないと使えないのでは?」と思いがちですが、二三・二三と分けて見れば、一萬と四萬は4枚ずつ残っているわけです。順子2組にもなれるし、暗刻+雀頭にもなれる。実況で「ダブルメンツですね」と聞こえたら、「あの4枚は面子2組ぶんの働きをする便利な塊だ」という意味です。
中ぶくれ——真ん中が膨れた便利な4枚
最後は土田プロの名(迷?)表現。
中ぶくれとは四五五六萬のような4枚一組の形。真ん中の牌がふくらんでいるのでこの名前です。何が便利かというと、両面ターツが2種類取れること。四五+五六と見れば、三萬・六萬・四萬・七萬——広く受けられます。二三三四索のような形も同じ理屈で合格です。
ただし注意がひとつ。同じ中ぶくれでも、一二二三筒のように端に寄った中ぶくれは、片側がペンチャンになってしまうので価値が落ちます。真ん中の中ぶくれは合格、端寄りの中ぶくれはあまり歓迎できない——ここまで分かればもう解説者側の目線です。
まとめ:用語がわかると、解説は倍面白い
- タンヤオ/中張牌 … 1・9を断った2〜8の世界
- 上目/下目 … 6789が上、1234が下。5はどちらでもない
- 4センチ … 3副露で手牌4枚になった状態
- 複合形 … 順子にも暗刻にも行ける二股の構え
- ダブルメンツ … 面子2組ぶん働く4枚(二二三三など)
- 中ぶくれ … 両面2種を内包する4枚(四五五六など)。端寄りは減点
次にMリーグを観るとき、解説の一言一言が立体的に聞こえてくるはずです。

