普段私たちが打っている麻雀は、世界的には「リーチ麻雀(Riichi Mahjong)」と呼ばれる日本式ルールです。中国生まれの麻雀に日本が独自の進化を加えたもので、いまや海外に愛好者が広がり、世界選手権まで開かれています。何が「日本式」なのかを整理します。
共通するのは「攻めと守りの駆け引き」を極限まで面白くする方向の進化だということ。リーチ棒が乗った瞬間の緊張感は、他国ルールにはない日本式の華です。
日本で追加されたルールを並べると、面白い共通点があります。フリテン(自分が見逃した牌で人を討ち取るのは卑怯)、喰い替え禁止(意味なく場を乱すのは見苦しい)、三味線(口三味線)禁止(言葉で騙すのは腕ではなく品性の問題)、そして先ヅモ・強打の禁止。どれも損得ではなく「勝ち方の美学」に関わるルールなのです。囲碁や将棋が作法を重んじてきた文化の延長線で、日本人はマナー規範をルールにまで昇華させた――私はそう見ています。
そして特筆すべきは、フリテンが結果的にゲームデザイン上の大発明になったこと。フリテンがあるから捨て牌に情報が生まれ、「現物は安全」という読みが成立し、「降りる」という技術体系が生まれた。美学から生まれた制約が、麻雀を世界一奥深い駆け引きのゲームに変えたのです。
アニメ・漫画・ネット麻雀を入り口に、欧米にもリーチ麻雀プレイヤーが増えています。欧州には統括団体があり、世界リーチ麻雀選手権(WRC)も開催。日本のプロが海外の強豪と同卓する時代になりました(→ 世界の麻雀団体)。
そして近年最大のトピックが、麻雀の母国・中国での「日麻(リーチ麻雀)」ブームです。Mリーグの中国配信や雀魂・天鳳などのオンライン麻雀をきっかけに、若い世代を中心にリーチ麻雀の人気が急上昇。中国の日本式麻雀人口は数百万人規模と推測され、都市部にはリーチ麻雀専門の雀荘が次々と生まれています。中国出身プレイヤーが天鳳の最高位「天鳳位」に到達する例も出ており、「日本式が中国に逆輸入される」という麻雀史の新しい章が、いままさに書かれています。

中国公式ルールは役の点数を積み上げる加点型、四川麻雀は3人アガるまで続く連続型、アメリカ麻雀は毎年変わる役カード型――同じ牌を使いながら、ゲーム性はまったく別物です。詳しくは各記事へ:中国麻雀 / 四川麻雀 / アメリカ麻雀