かつて千葉県いすみ市の海辺に、世界でただひとつの麻雀専門博物館がありました。設立したのは麻雀漫画誌で知られる竹書房。数千点の名牌・珍牌を collection した「麻雀の聖地」は、閉館後、海を渡って思わぬ再出発を遂げます。

麻雀博物館は1999年4月、『近代麻雀』を発行する竹書房の野口恭一郎会長が発起人となって開館しました。場所は千葉県いすみ市(旧岬町)、外房の海にほど近い竹書房の保養所を転用した建物。なぜ海辺のサーフタウンに麻雀博物館が?と誰もが突っ込んだ立地も含めて、愛すべき存在でした。

収蔵されていたのは、世界各地から集められた数千点におよぶ名牌・貴牌・麻雀資料。中でも有名なのが、ラストエンペラー・溥儀ゆかりと伝わる「皇帝牌」、戦犯収容所で作られた手製の「巣鴨プリズン牌」など、歴史そのものを刻んだ牌たちです。麻雀の前身とされるカードゲーム「馬吊」の資料も展示され、収蔵牌は2010年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」の劇中でも使用されました。

2012年に休館し、2017年11月30日をもって正式に閉館。収蔵品の多くは中国企業に売却され、北京でのオークションが報じられるなど、コレクションは散逸の危機にありました。麻雀卓67台と牌が地元いすみ市に寄贈されたことも記録されています。
それから約13年。2025年4月、旧蔵品を活用した「麻将博物館」が中国・重慶で開館し、日本の麻雀博物館の系譜は麻雀の母国で再出発を果たしました。千葉の海辺で始まった物語が、巡り巡って中国内陸の大都市に続いている――麻雀という文化の越境力を象徴するエピソードです。

※最新情報は各公式サイトをご確認ください。(最終確認日:2026年7月)