今回のゲストは、BEAST Japanextの鈴木大介プロ。将棋九段にしてMリーガーという二刀流です。土田プロいわく「ビースト誕生のときからシンパシーを感じていた」「打ってるだけだと意味不明なことが多いので(笑)、話さないと分からない魅力を引き出したい」。しかも二人は雀鬼会つながり——桜井章一会長の門を、時期は違えどくぐった間柄です。企画は何切る・第1打問題。東1局の親、ドラは九筒。配牌を見せられた大介プロは——即答でした。
第一感は「五萬・六萬から」——世間は西切りなのに
「ウーワン・ローワン、打ちたいですね」。多くの打ち手の第一感は不要な西あたりのはず。土田プロも「世の中の皆さんは狂ってんじゃないかと(思うかもしれない)。両面2ヶ所もある配牌じゃないですか」と突っ込みます。大介プロの理由はこう——「この手はパッと見た瞬間、チャンタが一番見える手なんで、迷わず切れる」。
ダブ東をポン、九筒(ドラ)を絡めてチャンタ三色ドラドラ。五萬・六萬という真ん中の牌は、その青写真に「いない」。ペン一筒がきつく見えても、九筒の縦引きがある。「跳満まで見える形をギリギリまで追う。上がり率はもちろん下がるんでしょうけど、満貫を見ながら手を進める」——受け入れ枚数の計算より先に、完成図から逆算する打ち方です。
土田プロの観察が的を射ています。「すごく大胆なんだけど、大事なところは繊細に押さえてる」。大介プロの返しも味わい深い——効率の基本は世代的に身についている、その上で「麻雀って自由に打たないと、手が伸びてこない。これをツモったら楽しいな、を大事にしている」。
攻め駒と受け駒——将棋指しの牌の見方
この回いちばんの概念が、ダブ東の扱いに出ました。大介プロは東対子を「攻め駒」と呼びます。ポン材料であり打点の種。ところが九萬(ドラ表示牌側)を引いた瞬間——「受け駒になって」。手の主軸がドラ周りで立った瞬間、同じ東2枚が安全牌・守備の要へと役割を変える。
牌を固定した価値で見ない。盤上の駒が局面で働きを変えるように、牌も手の文脈で攻守を入れ替える——将棋九段ならではの牌の見方です。ちなみに「東は常にポン」だそうです。役牌の1枚目を鳴くかは手によりますが、ダブ東は即。
調子が悪いときは「工夫」を入れる
もう一つ、状態論。手なりで最速テンパイに向かうのが正解の場面でも、調子が乗っていないときは、あえてテンパイへの道を一歩バックさせる「工夫」を入れる——白の重なりを待って高打点ルートに組み替える、といった遠回りです。上がり率は相当下がる。それでも、手なりの安手を重ねるより、工夫の入った大きい上がりが状態を引き上げる。この話は次の第2問(美しい第1打の回)で本格化します。
親は攻める——「受けに入ることは、親は罪に近い」
最後は親番論。大介プロの麻雀観は「親 vs 子」。親は1.5倍もらえる——1000点を1500点にしてもしょうがない、8000点の手を12000点に、12000点を18000点にするのが親番。だから親のときはアグレッシブなら何をやってもいい、カンチャン3枚切れだろうと打点があればリーチ。「受けに入ることは、親は罪に近い」。放銃率は上がる、それでも勝ったときのリターンが大きいから攻めるに躊躇なし——土田プロも「すごく共感できる考え方」と全面同意でした。
まとめ
- 第1打は完成図から逆算 … チャンタ三色ドラドラが見えたら、真ん中の牌から迷わず
- 攻め駒と受け駒 … 同じ対子が、手の進行で攻守を入れ替える
- ダブ東は常にポン
- 調子が悪いときは工夫を一手 … テンパイへの道をあえてバックさせる
- 親は攻める … 8000を12000にするのが親番。受けは罪に近い
「この話をしてるだけで3問中2問しかできない」と笑い合う二人。続く第2問は、トップ目なのに切る牌がない不思議な配牌から、雀力とアヤの話へ深く潜ります。

